長嶋優依のヨルダン滞在記⑰

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あるシリア人難民少女(17歳)についての話

私が妹のように仲良くしているシリア人少女に「ユスラー」(仮名)がいます。日本でいう高校2年生です。彼女は2012年、6歳の時に家族と一緒にシリアからヨルダンへ難民としてやってきて、私が活動するザータリシリア難民キャンプに住み始めました。

私とユスラーの出会いは、今年の3月。私がある日難民キャンプ内の中学校を訪れた際に、彼女が私を見つけて声を掛けてくれたのです。実は彼女はかねてから独学で日本語を勉強していて、将来は日本の大学院で勉強したり、日本に旅行に行くのが夢なのです。私が普段来ている服に付いている日本の国旗を見て、「日本人だ!!」と思って声を掛けてくれたそうです。それ以降私が活動するセンターに頻繁に来てくれるようになりました。ユスラーがセンターに来ると、時間を忘れて様々な話をします。いわゆる女子会です。

ある日、ユスラーが突然「ユウイに話したいことがあるの。」と言ってきました。それは、「ドイツに住むいとこと婚約をした」という内容でした。私はとても驚きました。あまりにも寝耳に水で、彼女は以前から結婚は大学を卒業して仕事を得てしっかりと自立してから。と言っていたのですから。実はシリア人は慣習的に学生である10代に婚約・結婚をすることは珍しいことではないのですが、私は彼女はどちらかというとそのタイプではないと思っていました。だからこそ彼女の突然の告白に驚きました。しかし、私が「あなたはそれで幸せなの?」と聞くと、「うん、幸せ!!」と無垢な笑顔で答えました。そしてすかさず彼女はこう言いました。「だって、ここ(難民キャンプ)には未来がないもの。キャンプにいても大学に進学できるか分からない、仕事が得られるか分からない。ドイツで暮らす方が未来が明るいの」と真剣な顔をして言いました。私は面食らいました。17歳という若さで人生の大きな決断をした彼女の意志の強さと難民キャンプの暮らしのリアルを目の当たりにしました。ユスラーは来年の6月にタウジーヒというヨルダンの大学入学試験を兼ねた高卒認定試験を受け、高校を卒業してからドイツに行き、結婚、そしてドイツの大学入学を目指すそうです。

鞍高の3年生も残り数カ月で卒業ですね。世界には様々な境遇の同年代がいて、現在自分を取り巻く環境が世界の当り前ではないということをユスラーの話から知ってもらえたらと思います。これから自らの力で未来を切り拓いていく鞍手高校生、シリアの少女達を心から応援しています。たくましき前進者たれ!

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