令和元年度第3学期終業式 式辞に代えて
校長 清澤 亨
新型コロナウィルス感染防止のための休業措置が継続されたまま3学期の終業を迎えることになりました。休業中の課題や、ネットを利用した学習教材などは提示していますが、分量のある読書に挑戦したり今後の進路について情報収集を行うなど、ピンチをチャンスに変える取組を期待します。それにしても授業等で令和元年度のまとめができないまま、また現クラスでの名残を惜しむ場面もなく、新しい学年に進むことは、皆さんにとっても残念としか言いようのない状況であろうと思います。ただ、世界的な感染拡大のニュースが連日報道されている中では、私たち一人一人が感染拡大防止に向け、できることを辛抱強く行っていくしかありません。3年生を送る卒業式も、時間短縮、参加者の制限等、例年とは異なった条件での実施となりましたが、在校生の皆さんからの思いも伝え、心を込めて送り出すことができたことを、遅くなりましたがこの場を借りて報告します。
今回のコロナウィルスの問題は、あらためて私たちが今、これまで経験したことのない予測困難な社会に生きているという事実を突きつけています。今どうすることが「正しい」解決方法なのか、正解を知っている人はどこにもいないかもしれません。しかしそんなときだからこそ、氾濫する情報の真偽を見定め、未知の驚異を正しく恐れ、国際的な協力体制のもとで、解決困難な課題に立ち向かっていかなければなりません。少し大げさな言い方になるかもしれませんが、鞍手高校がSSHやSGHで取り組んできた「主体的・対話的で深い学び」をもとに、真のグローバルリーダーを育てるという目標は、これからの時代にこそ求められる理念であり、そこで学ぶ皆さんには、未来を牽引する人材になってほしいと心から思います。課題研究を核とする鞍手高校の先進的な探究活動は、県内外でも高く評価され、3学期始業式で披露した「とびうめ教育表彰」に加え、2月には「福岡県教育文化表彰団体賞」も受賞しました。鞍高生諸君!自信をもって、さらにたくましく前進してください。
部活動生徒も早くみんなと一緒に活動したくてうずうずしていると思います。春の大会のことも心配でしょう。春休み以降の練習や活動の再開に関しては、福岡県や教育委員会の判断を待たねばなりません。安易な期待はできませんが、自分でできることを続け、許可が出た時点でスタートダッシュできるように体調管理に努めてください。
おわりに個人的な話で申し訳ありませんが、私もこの3月末で38年間の教員生活を終え、定年退職を迎えます。最後の4年間を母校である鞍手高校の校長として勤務できたことを大変ありがたく、また誇りに思います。引退会見の際のイチロー選手のように「後悔などあろうはずがない」などと言えればよいのですが、最後の終業式の式辞を皆さんに直接伝えられなかったこと一つとっても、悔いは残ります。そこで、校長としてまた母校の先輩として皆さんへ贈る最後のメッセージは「人生に意味のない経験は何一つない」ということです。今、成績で伸び悩んでいる人、部活動でなかなか結果が出ない人、最近友だちとうまくいかない人など、悩みのない人の方が少ないかもしれませんが、古くから「正しき者ほど悩み多し」と言われます。今の経験は、どんな経験であれ必ずこれからの人生の糧となります。定年を迎える今となって、あらためて私自身が実感している人生訓です。
それでは、在校生の皆さんと鞍手高校の更なると発展と輝かしい未来を信じて、3学期終業式の式辞とします。